理科室

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開くじゃん。しかも誰もいない。 おそるおそる中に入ると、心なしかひんやりもしている。 すごい穴場だ。ここならだれにも邪魔されず、ゆっくりお昼を食べられそう。 走ったせいで暑くなっていた私は、とりあえずサイダーのプルタブを開ける。 その途端、勢いよく飛び出した炭酸が半袖の腕をびしゃっと濡らした。 「うわっ」 思わず叫んでしまう。 最悪だ。制服にもかかった。 どうしよう。と思ったけど、すぐにどうもしないことに決める。 袖口が濡れただけだし、着たまま乾かせばいい。 理科室特有の深いシンクでべたつく手を洗っていると「あ、教室にタオル置きっぱなしだわ」と、ごくナチュラルにひとりごとが洩れた。 うわ、やば。最近学校では田口とくらいしか喋ってないからだろうか。 こんなでかいひとりごと言うとか、危ない奴みたいじゃん。 「フヒッ」 やばーい、とか思ってたら追加で変な笑い声まで出た。 まあいいか。周り、誰もいないし。 自分で自分にひきつつも、そのままフヒフヒ笑う私の目の前に、ハンカチを握った白い腕がにゅっと出てきたのは突然のことだった。
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