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「クライブ! この愚か者が!!」
言われた通り、身じろぎせずにじっと待っていた青年を、どやしながら見下ろすのは、フランケンシュタインだった。
そう、まごうかたなき、懐かしのアニメ特集に出てくるような、頭にネジの刺さった、継ぎはぎだらけの顔と巨躯のフランケンシュタインが、白衣をまとって、本当に電話から五分でやってきたのだ。
「トマトジュースでお前の身体は保たんと、俺の先代からずーーーーっと言われてるだろ! 何回、何十回、何百回俺に迷惑をかければ気が済むんだ、このへっぽこ吸血鬼!」
フランケンシュタイン医師は、クライブと呼んだ青年を罵倒しながら、彼の顔に赤い液体の詰まったパックをごりっと押しつける。
「やだああああ血液不味いんだもん飲みたくないいいいいい」
「それで野垂れ死にかけて、たまたま通った完全一般人のお嬢さんを巻き込むな! 人間に迷惑をかけないように生きるのが、俺達『穏健派』の理念だろうが!」
フランケンシュタイン医師は明らかに苛つきながらまくしたてると、パックの蓋を開けて、青年の口に問答無用で突っ込む。青年が絶望に目を見開くけれど、お構いなし。ぎゅうぎゅうパックを搾って中身を流し込む。
「……ブゲッヘエーーー!」
パックの中が空っぽになってようやく口を解放された青年は、開口一番、そのまま吐き戻しそうな声を、喉の奥から絞り出す。
「すっ……すいません。ほんとすいません……。宵凪の、彼の言う通り、僕達の世界と全然関係ないあなたを巻き込んでしまって……」
申し訳なさそうに萎縮しているが、顔色は明らかに先ほどより良くなり、隠されていた美貌がうかがえる。電灯に照らされているせいで白っぽく見えるのかと思った髪は、綺麗な銀色。喋る時に、ちらっと、明らかに人間には無いくらい尖った歯も見えた。
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