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「つまり君は、君自身の孕んだ不完全な思想を少女の創造と癒合させることで救済を得ようとしているんだね?」
「私自身だけではない。衰退する赤い人の未来を少女に託すことで思想的腐敗を克服しようという大いなる試みはすべての赤い人を救うことになるだろう。勿論、君だってそうさ」
「思想的腐敗というのは、君自身のそんな考え方に帰趨するのではないだろうか?君は騙されているんだ、彼女の正体に。僕の國はそれを知っている、知っているというより、刻まれているんだよ、身体中に疱瘡患者みたいに醜い瘡蓋まみれになってね。君は知らないだろう、彼らの痛苦も悲愴も。まぁ当然と言えば当然か。君たちは人類史上最も愚かな兵器を創って甘美だと嬉嬉としている人間だからね」
「君はひとりで超越人間にでもなったつもりか?これから世界は平和になるだろう。君の國が戦前に重ねた犠牲の上に新たな秩序が齎されるんだ。けれどそれは彼女の兄たちなしでは築かれない秩序だ。それを享受する身なんじゃないのか君の國は?私は兄たちが兵器として使われる時代を投棄し、新たな平和を見出そうとしている。彼女の手を引いてね。君の國は卑怯だ。緑の帝国に醜悪で血腥いところを押し付けて、あげくその傘で護られていながら傘は要らないと抗議する。君は卑怯だ、卑怯で臆病者だ!だから君の國は負けたんだ!」
「、、、人類はいつから馬鹿になったんだろうな。いつから兄たちが必要だとほざくようになった?百年前は彼らで平和は成せなかったか?猿人の頃はどうだ?君たちは平和を大義名分に、それとは全く逆のほうへ進んでいる。確かに僕の國は負けたさ。けれど、人類の叡智が一瞬にして消し飛ぶような愚鈍な兵器なんて使おうとは思わなかったよ、一度もね」
「K、それは少女でも駄目なのか?彼女には兄たちのような残虐性は持ち合わせて居ない。幼気な少女さ。彼女は僕たちを憎んでもいない、A Weak Friendさ」
「Weak、君の滑稽な盲信はもはや病気だね。僕たちの國では少女のことをこう訳す、核と。僕の國で核という時、それはものごとの中央に常に位置していて、それを司る存在のことだ。では少女の正体は何者か。それはこの世界を司る新たなる支配者だ。彼女が少しでも機嫌を損ねれば忽ち世界は破滅に突き進む。彼女の存在を容認するということ、それは僕たちがこの世界の温かい木漏れ日を待ち望む新時代の子どもたちに未来を伝達する者としての役割を放棄したに相違ない。少女だと侮り、自分たちが支配者の玉座にいつまでも座っていられると考える者たちの倨傲は、最も尊い未来の息吹でさえも潰しかねないということを君は理解しているのか?君は未来を喪失した憐れな子どもたちになんて言うんだ?耳を狩って正しき者の呻き聲を聴こえないようにするのか?」
「理解?君こそ理解すべきだ、自らに内包する矛盾を。万物の資源はいつか枯渇する。それすら顧みないでどうしてそんなことが言えよう。耳を狩る?君の演説こそ、少女を危険人物だと看做すように歪曲的に伝達しているではないか!資源は彼女の手によって救われる。君はどうしてそのことに気がつかない。君は旧時代の馬鹿者と蔑まれてもいいのか?」
「未来を僕たちの手で潰すよりはましだ。人類はいつだって希望を見出すものさ。たとえこの世界から資源が途絶えたとしても、手を繋いで前に進むことは出来る。少女が暴走し、灰色で世界が覆われるまではね。灰色の世界ですべての希望が死に絶えれば次はない。けれど、生きているかぎり、また次はあるさ」
「君は、、愚かだ、K、どうしてお前は少女を嫌う?」
「僕は彼女を未来の息吹を根絶やしにするために生まれた爆弾だと思っているからね」
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