8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぁぁ~、よく寝た」
ともはるが前触れもなく、突然起きたのだ。
これにはクレアも驚いたのか、顔を背ける。
が、それに気付いたともはるは、こんな事を言い出したのである。
「……んあ? ようクレア、おはよ」
「ふん、いつまでも寝ているなんて感心しないわね。 だらけていないでちょうだい。 だらしない」
「だらしないって…………ちょっと寝てただけだろ?」
ともはるは顔を背けたままなクレアに文句を言うが、クレアは未だそっぽを向いたまま。
相変わらず冷たい言い方に、ともはるは頬をポリポリと掻き、苦笑いをする。
かと思いきや、ともはるはクレアが今何を考えているのか、よく理解しているのかのように……。
「お前の美声のお陰で起きられたよ、サンキューな」
「黙ってて、うるさい」
相変わらずツンケンした態度のクレア。
そんなクレアに、ともはるは溜め息を吐くでもなく呆れるでもなく、苦笑した。
その反応に秘められた、心のうちを察したように。
これはそんな恋人未満友達未満な二人が織り成す、青春の一ページ。
不器用な女の子と男の子の……隣席ラブコメディーである。
最初のコメントを投稿しよう!