幸せの向こう側 ⑬

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幸せの向こう側 ⑬

施設の職員さんが迎えに来た 職員さんを交えて最後の身体検査をするのに あらたくんは、看護師さんと共に中に連れていかれた 色々な引き継ぎをしている時間に あらたくんのお父さんもかけつけた あらたくんのお父さんは、僕を見つけると頭を下げ近寄る 「あの~あの子の名前… あのまま『あらた』にしようと思っています。名付け親の一人として貴方達のお名前出して構いませんか?」 あらたくんのお父さんから聞かれた 僕は慶太をチラッと見てお互い頷き 「僕たちは構いませんよ」 と返事を返したらお父さんは、満面の笑みを浮かべ 「よかった、貴方達ならそう言って頂けると思っていました」 そう言いながらカバンの中から 白い封筒を僕に差し出した 「あらたの母親からです」 「読んでも?」 力強く頷いてくれた ━私の息子を助けてくれた方へ━ 私の息子を助けてくれてありがとう そして私の目を覚まさせてくれて ありがとう 今まで自分中心でしか考えてませんでした 親から自分がされなかった事ばかりで 息子にしてあげられるかわかりません ただ、ただ、愛おしいと可愛がってあげれば良いかと思うようになりました 貴方のおかげだと思っています いずれお礼に伺います 今は、ありがとうと伝えたい 息子の名前は『あらた』です 二上(ふたがみ)結友(ゆう) 僕は、慶太の胸で泣いた きっとこのお母さんなら今後大丈夫な気がした
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