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鎹(かすがい)
あの日から僕は、ちょっとだけ抜け殻になった
燃え尽き症候群って言っていいのかわからないけど
こんな時、怪我をしたり、調子を崩したりするのわかっているけど
つい…あらたくんを思い出し物思いにふけってしまう
「柾くん、お昼一緒にしない?」
久実ちゃんが声をかけてきた
「ん?もう、そんな時間!?」
「ううん、まだ…優里ちゃんがそろそろ出産するし、一人身最後のランチしようって話しになってね、柾くんもてどうかなって思って…」
久実ちゃん気を使ってくれてるのがわかる
「ありがとう。僕もいいの?」
「もちろん!ほら、柾くん縁起が良いし」
「久実ちゃん、なにそれ!?縁起が良いって…」
「ん?柾くんに関わると皆幸せになってるからさ~
縁起がいいな~って思ってね
だから、優里ちゃんのお産も軽いかな~って思ってるんだ」
「ね、久実ちゃん…あのさ…お産って痛いんだよね?」
僕は、聞いてみた
「うん?痛いよ。よく鼻の穴からスイカ出す感じって言うよね」
「それ、絶対痛いし無理だよね」
僕は、鼻を押さえる
「ね、痛いよね。私は内臓を捕まれてフルパワーでニギニギされた感じがした」
「ヴッ………」
僕は、子宮無いけど今度は、お腹を押さえた
「ちょっと~柾く~ん、笑わせないで~」
僕の行動で久実ちゃんが笑う
「はぁ~面白い。柾くん20分後に出られる?」
笑いを止めたニヤニヤ顔で言われる
「は~い。僕は、いつでも大丈夫です」
そう言って僕は、スマートフォンの連絡ツールをタップして慶太に連絡をした
━久実ちゃん・優里ちゃんと一緒にランチに行ってきます。場所は未定━
よしっと!
スマートフォンと財布持ったから
もう、行ける
…男ってこんなもんだよね
久実ちゃんの支度が終わるのを黙って待った
良彰さんがこの待ち時間よく文句言われているのを見てるから
僕は、黙って待つ
女性の支度は念入りなんだから…
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