鎹(かすがい)

1/1
前へ
/176ページ
次へ

鎹(かすがい)

あの日から僕は、ちょっとだけ抜け殻になった 燃え尽き症候群って言っていいのかわからないけど こんな時、怪我をしたり、調子を崩したりするのわかっているけど つい…あらたくんを思い出し物思いにふけってしまう 「柾くん、お昼一緒にしない?」 久実ちゃんが声をかけてきた 「ん?もう、そんな時間!?」 「ううん、まだ…優里ちゃんがそろそろ出産するし、一人身最後のランチしようって話しになってね、柾くんもてどうかなって思って…」 久実ちゃん気を使ってくれてるのがわかる 「ありがとう。僕もいいの?」 「もちろん!ほら、柾くん縁起が良いし」 「久実ちゃん、なにそれ!?縁起が良いって…」 「ん?柾くんに関わると皆幸せになってるからさ~ 縁起がいいな~って思ってね だから、優里ちゃんのお産も軽いかな~って思ってるんだ」 「ね、久実ちゃん…あのさ…お産って痛いんだよね?」 僕は、聞いてみた 「うん?痛いよ。よく鼻の穴からスイカ出す感じって言うよね」 「それ、絶対痛いし無理だよね」 僕は、鼻を押さえる 「ね、痛いよね。私は内臓を捕まれてフルパワーでニギニギされた感じがした」 「ヴッ………」 僕は、子宮無いけど今度は、お腹を押さえた 「ちょっと~柾く~ん、笑わせないで~」 僕の行動で久実ちゃんが笑う 「はぁ~面白い。柾くん20分後に出られる?」 笑いを止めたニヤニヤ顔で言われる 「は~い。僕は、いつでも大丈夫です」 そう言って僕は、スマートフォンの連絡ツールをタップして慶太に連絡をした ━久実ちゃん・優里ちゃんと一緒にランチに行ってきます。場所は未定━ よしっと! スマートフォンと財布持ったから もう、行ける …男ってこんなもんだよね 久実ちゃんの支度が終わるのを黙って待った 良彰さんがこの待ち時間よく文句言われているのを見てるから 僕は、黙って待つ 女性の支度は念入りなんだから…
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加