鎹 ③

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鎹 ③

久実ちゃんが予約を入れてくれていたから中庭が見える個室に通された マルゲリータにクワトロフォルマッジ (四種類のチーズピザ) パスタは、ジェノベーゼとペスカトーレ・ボロネーゼそしてサラダを頼んだ 僕から厨房の一角が見えた シェフは、ちょっとお年をお召した恰幅のいい…外人さん? え!?ここまさか本場イタリア人が経営してるの!? お弟子さんなのかな? 若い男性が注文を聞いたミセスの人とこちらを見ながら話をしてる 僕は、目が合ってしまった… 厨房から笑顔で会釈された 暫くするとサラダと一緒に レンズ豆のスープが来た 「え?あの~スープ頼んで…」 久実ちゃんが恐る恐る声を出した 「はい、このスープはお店からのサービスです。レンズ豆…アレルギー無ければ食べてください。本場イタリアでは、大晦日に食べる縁起のいい食べ物なんですよ」 「へ~」 「そしてこちらもよかったら食べてください。豚肉のウインナーです。イタリアでは無いのですがブタは子孫繁栄の象徴で「ウインナー」はwinnerに発音が似ているので勝負事に勝つ!!イメージ先行なんですけどね」 ホールのミセスがフフフって笑ってた 「あっ!!」 僕は、思わず叫んだ 「もうすぐ生まれそうですよね?」 「は、はい」 「一仕事前に力付けてください。実は、彼の家ももうすぐ生まれるんですよ」 「あら、それはそれは」 「うふふ…私の孫になるんですけどね」 ミセスは、ニコニコが止まらない 「あっ、こちらはご家族でお仕事されていらっしゃるのですね」 「ええ、主人がイタリア人で主人慕って来てくれた彼に娘が落ちてしまいました」 「「「あら~」」」 皆でニヤニヤしながら厨房を見ると お婿さん気が付いて耳まで真っ赤になっていた 今日ここのアラビアータは辛くないと思う お言葉に甘えてスープとウインナーを頂く ウインナーパリッてしてて美味しい 久実ちゃんは、優里ちゃんに 「winnerだよ、winner!!勝つんだよ」 って訳のわからない気合いも入れてた ピザもパスタもどれも美味しい 本場イタリアに来ているような気がしてきた ジェノベーゼソースは、この中庭で栽培をしているバジルを使っているそうだ そんな話を聞いて居たら優里ちゃんの様子がおかしい
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