鎹 ④

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鎹 ④

たまに眉間にシワを寄せている 「優里ちゃん?」 僕は、声をかけた 「…………ハイ?」 「いよいよ来た?」 久実ちゃんは、どっしり構えてる 「なんですかね?何か…チクチクして急に無くなったりします」 「はい、来てますね。ピザまだ残ってるし長丁場にもなるし。包んでもらえるかな?」 久実ちゃんが女将さんに聞いている時 ふと、庭先で屈み込む人影が見えた 「あれ?」 「柾さんどうしました?」 優里ちゃんがケロッとしながら聞いて来る 「は?優里ちゃん大丈夫なの!?」 「はい、今は痛く無いので全然平気ですよ?」 そう言いながら包んでもらうはずのピザを一切れ口にしてる いや、なんか本当に女性って凄い 僕は、目を丸くして見つめてしまった 「柾さん、何かありました?」 ああ、そうだ 「中庭に人が居たような気がして…」 そんな会話を耳にした女将さんが ギョっとした顔した 「ちょっと見てきますね」 そう言って慌てた様子で中庭に出た やはり中庭に人がいた それも… 娘さんが産気付いたらしい そして…優里ちゃんも触発された訳じゃないけど陣痛が来た え? 何も二人揃って陣痛来なくてもじゃない!?
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