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聖なる日 ⑤
「久実ちゃん、あっきーに何かあった!?」
通話ボタンを押して直ぐに出た言葉
「柾君、亜紀人見当たらなくなっちゃった…」
「久実ちゃん、そこどこ?」
「東京駅近くの商業ビル」
「インフォメーション無い?」
「インフォメーション…インフォメーションって何だっけ…」
久実ちゃんかなり動揺している
「案内所みたいなの無い?無ければどこかのショップ…お店やさんの人に子供が居なくなったって伝えて」
「わ、わかった」
「僕たちも行くから」
慶太と目を合わせた
良彬さんからも同じ電話だった
取り乱して最初に良彬さんに電話したらしい
まあ、一番最初は、信頼している人に電話するよね
「咲さん、すみません。子供が迷子になったようで…」
「うん、行ってあげて。ん?東京駅近くの商業施設って言ってたよね?」
「はい、ビルの中央に大きなクリスマスツリーがあるって言ってました…よ?」
「あっ…助っ人出きるかも」
「助っ人?」
「あ、こちらは連絡しておくから柾さん達は行ってあげて」
「はい、すみません。ごちそうさまでした」
「気をつけてね」
そう言って見送ってくれた
私は直ぐ電話をかける
「もしもし?良介?」
「あれ?姉ちゃん…どうしたの?」
弟の良介が直ぐに出てくれた
「今日さ、良介、東京駅近くのビルでワークショップするって言って無かったっけ?」
「うん、するよ。瑞樹ちゃんも一緒なんだよね~」
「あら、私も参加したいわ」
「姉ちゃんは、ワークショップに参加したいのか、瑞樹ちゃんに会いたいのかわからない事言うな。
って、何?用事それ?」
「ああ、ごめん。あのさ、そのビル人…多いよね?」
「うん、沢山いる」
「わからないとは思うけど、小学生の男の子あっきーって子、迷子らしいの」
「えっ…?」
「ほら、クローバーのキーホルダー作ってくれる柾さんの知り合いの子なんだ。でね、お母さんと多分そこに居るみたいなの。小学生一人歩きしているの見かけたら声かけてみて」
「わかった…けど期待しないでよ。仕事中だしさ。あ、集合だ…姉ちゃんまた」
そう言って電話が切れた
ここじゃ無いかも知れないけど
早く見つかって欲しい
私は、祈るように店の前で空を見上げている
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