聖なる日 ⑥

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聖なる日 ⑥

「菅野?どうしたの?小森君から?」 菅野が電話を切ってから 何だかキョロキョロしてる 小森君がワークショップに来るのかと思って声をかけた 今日は、加々美花壇協賛で この辺りのフラワーアーティストを先生に迎えて クリスマスリースを作るワークショップがこの商業施設で開催される うちの会社も僕と菅野が夕方までお手伝い 夕方、一番最後の回には芽生くんが参加する 今年は、芽生くんのリースが我が家に加わる予定だ だから菅野も小森君が来るのかな?って思って聞いてみた 「いや、今、姉ちゃんからでさ、多分ここでうちにキーホルダー卸してる人の知り合いの子が迷子になったみたいで…小学生位のあっきーって男の子見掛けてないよね?って電話でさ、やっぱり気になってキョロキョロしてた」 「え!?大変…大丈夫かな?」 「あ、うん、お母さんはインフォメーションに連絡したみたい。 知り合いの人達もかんの家からこっちに来るみたい」 「早く見つかるといいね」 そんな中1回目、11時45分からのワークショップがはじまった 「皆さんこんにちは。加々美花壇協賛、クリスマスリース・ワークショップご参加ありがとうございます。これからリースを作ります。皆さんの感性・個性を生かしてください。わからない事ありましたら色々な場所に先生が居ます。聞いてくださいね」 司会の話が終わると 拍手が起きワークショップが始まった 加々美花壇の二人は、目を合わせて 微笑み、頷いて近くのテーブルを 周り始めた 始まって数分 大きなツリーの下に男の子がいる うちの芽生くんよりは大きい… 顔色がどんどん悪くなる気がする …あの子が迷子の子? 「菅野!!」 「どうした?瑞樹ちゃん」 「あの子…もしかして?」 二人でツリーの下に目をやる どうしよう… オレの周り皆、お父さんやお母さんと 手を繋いで楽しそうに歩いて行く オレ…皆に散々言われたのに 迷子になっちゃった うちの方なら小学生が一人歩きしてたら知らないおっちゃん、おばちゃんが凄い話しかけて来るのに 東京(ここ)って誰も話かけないし オレがまるで居ないみたいな感じですり抜けて行く なんか…… 泣きたくなってきた…
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