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聖なる日 ⑦
「こんにちは、僕、一人?」
かがんで声をかけてみた
「………」
返事はない
「僕は、瑞樹って言うんだ。あそこでリースを作るの教えているんだ」
「えっ…あっ……」
ビックリしてるのかな?目が丸くなってる
「ね、もしかして『あっきー』くんかな?」
あだ名を呼んだら目からポロポロ涙が出て来た
ああっ…泣かせてしまった
「まきちゃんに言われたのぉにぃ~」
しゃくり上げながら泣く
「菅野!!」
あっきーくんで間違いないと両手を上げ丸を作る
菅野は、インフォメーションに走って行く
「あっきーくん、きっとお母さんもうじき来るから僕とリース作らない?」
リース作りに誘った
心細かったのか僕の手を握り締めながら移動をした
椅子に座らせ、蔓を丸めた物に
リボンやドライフラワー・生花に葉っぱ
大小のクゲール、シナモンもある
「あっきーくん、好きな物使ってリース作ろう。このリースは、林業を…あっ、林業ってわからないよね。森を守って…」
「知ってる…知ってるよ。うちの父さん林業してる」
「そう、あっきーくんのお父さん森を守っている人なんだ。会ってみたいな」
そう言って微笑んだら
彼も笑顔になってきた
「ね、ね、この丸いのなんだっけ?」
彼は、指をさした
「これは、クゲール。ドイツ語で「球」って意味なんだって。で、赤い太陽を表しているらしいよ。冬の時期は、お日さま直ぐ沈んじゃうからね」
「ふ~ん、けどうちには、沈まない太陽いるんだよ。まきちゃんって言うの」
「へーその『まきちゃん』は、あっきーくんの太陽なんだ」
「うん、怒らないしわかるまでちゃんと教えてくれるし笑うと可愛いんだよ。だからね、ピンクの丸いので飾りたいの」
「ふふっ、あっきーくん、その人の事大好きなんだね」
「うん!お兄さんは…み、み、」
「うん?僕?…あ、ミズキだよ」
「『ミキ』ちゃんもまきちゃんの次位に可愛いよ?」
あっきーは、ミキちゃんにほほえんだ
「え?ありがとう…」
不思議な子
勝手にあだ名つけて、他人の懐に違和感なく入って来る
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