占い師を呼べ!

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占い師を呼べ!

「占い師を呼べ!」 王様の声が響き渡ります。 「恐れながら王様、どのような用件で 占い師を御前に呼ぶのでしょうか」 「うむ、余の寵姫が温泉に入りたいと 言っておる。我が国にはない・・・。 そこで温泉の出る土地を占わせるのだ」 「ははぁ。それでは我が国一番の 占い師を呼びましょう」 こうして国一番の占い師が 王様の御前に召しだされました。 用件を聞かれた占い師は 仕方がない用事で呼び出されて あきれましたが、 「温泉は、唯一、隣の国ー世界最強を誇る 帝国の土地ーから出ます」 と占いました。 「なんだと!」 王様以下その場にいた全員が青ざめましたが 今更ひくわけにはまいりません。 王様は 「よし、分かった。 では将軍を呼べ!」 経緯を知っている将軍は まさか寵姫が温泉に入る 土地を得るために 戦争になるのかと思うと 胸がつぶれる思いがしました。 そこで王様に 「戦争に成れば民草は流浪に嘆き 土地は荒れ、ご寵姫様に 泥水のお風呂しかご用意できませぬ。 そこでこの国一番の賢者を 呼んで意見を求めてはいかがでしょうか」 それを聞いて王様以下全員がほっとして 王様は 「うむ、詮議の前に賢者の意見を 聞くことは賢王に求められるもの。 よし、賢者を呼べ!」 そこで賢者が呼ばれました。 賢者は 「よくぞ戦を止められる為に 私を召しだされたこと感謝申し上げます。 ことは簡単です。 隣の国では温泉の湯を売っておりますので それをご購入下さい。 そして魔法使いを呼んできて、 ご寵姫様をティーカップに入るほどの 小ささにすればよろしいでしょう」 「おおそうであるか。さすがは賢者殿。 余も実はそう思っていたのだ。 感謝するぞ。 わが軍が負けるとは思わぬが 民のことを思えば戦という無下なことは 避けたいものであるからな。 それでは魔法使いを呼べ!」 こうして魔法使いが呼ばれて ご寵姫様をティーカップに 入れるほど小さくしました。 そして隣の国から買った温泉の湯を入れた ティーカップにご機嫌で入られました。 やれやれとみんなは思いました。 が、その数日後・・・
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