第3章 恋心

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第3章 恋心

私たちはテストが近づいてきたため私の家でテスト勉強をすることになった。 今日は私の家の最寄駅に集合して私の家に向かう。 「おはよ、何もってるの?」 「おはよう、手土産だよ。手ぶらで行くのは失礼かと思ってな」 「しっかり者なんだね」 「これくらい普通だよ」 「ちょっとそわそわしてるけど緊張してる?」 「当たり前だろ」 「森崎君でも緊張するんだ」 そう言って笑う私の頭を森崎君は「うっせえよ」と言って軽く小突く。 家についてドアを開けると満面の笑みで母が立っていた。 「いらっしゃい」 「お邪魔します。クラスメイトの森崎駿人です。これ、皆さんで食べてください」 そう言って森崎君は紙袋から取り出した手土産を母に渡す。その様子を見て意外と礼儀正しいんだと私は感心した。 「ありがとう、紗知が素敵な彼氏を連れてきてお母さんうれしいわ」 「そんなんじゃないってば!」 お母さんがとんでもないことを言ったため私の顔が一気に赤くなるのを感じた。 「もう、いくよ」 そう言って森崎君の腕を引っ張り2階の自室へ案内する。 「きれいに片付いてんだな」 私の部屋に入った森崎君はあたりを見回してそう呟いた。 「でしょ、頑張って片づけたの」 森崎君に褒められた私は片づけた甲斐があったと思いながら席につく。 私たちが教科書を広げたところでドアをノックする音が聞こえる。 「はーい」 「お茶を持ってきたわよ」 「ありがと」 「ありがとうございます」 母はお茶を置くと「勉強頑張ってね」と言って部屋から出ていった。 「まずは普段の点数を見せてもらおっかな」 「前のテスト持ってきたぞ」 森崎君が持ってきたテストを見るとどれも30点台と赤点は取らないもののギリギリの点数だった。 「ここまでギリギリで回避できるのも逆にすごいよね」 「うるせえよ、そういう委員長は何点ぐらいなんだ?」 「私は80点くらいかな」 「それはすげえな」 森崎君のそんな言葉に少し照れつつここからはお互いに課題を進めることにした。課題を始めていくらか経ったころ森崎君がわからないところがあるということで教えてあげる。 「委員長、ここってどう解くんだ?」 「んーと、それは教科書のところに書いてある公式を使えば解けるよ」 数学でわからないところがあったらしくその問題の解き方を丁寧に森崎君に教える。 「なるほどな、委員長って勉強できるだけじゃなくて教えるのもうまいんだな」 「えへへ、そうかな?」 今日はいい日だなと思っているとまたドアをノックする音が聞こえる。 3時になったらしく母がおやつを持って部屋にやってきた。焼きたてのシフォンケーキだ。甘いもの好きな森崎君と私はすぐに平らげてしまった。 小腹を満たしたところでまた勉強へと戻る。私はサクサクと課題を進めていくが森崎君はなかなかに苦戦しているようだった。そうして私の課題が終わったころ森崎君の様子を見るとなんとすやすやと寝息をたてていた。時計を確認すると5時になっていたため普段と違ってかわいい寝顔だなと思いつつも森崎君を起こす。 「起きて、もう5時になっちゃったよ」 「ん、んー? わりい、寝てしまった。」 「おはよ」 「おはよう。もうこんな時間か、帰らないとな」 「そうだね、課題も結構進んだみたいだしあとは家で頑張ってね」 「ああ、ありがとな」 「それじゃあいこっか」 森崎君を駅まで案内して今日は解散した。
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