第3章 恋心

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テスト返し当日、私たちは点数の確認と夏休みの予定の相談を兼ねて二人でファミレスに来ていた。 「テストどうだった?」 「まあまあだな」 そう言って取り出した森崎君のテストはどれも50点近くあり赤点ギリギリから脱出していた。 「再試にならなくてよかったね」 「ああ、特に数学は委員長のおかげでいい点が取れたしよかった」 「これで夏休みは心置きなく遊べるね」 「そうだな、どこか行きたいところはあるのか?」 「八月の花火大会は絶対行きたい!」 「いいな、花火大会ってことは委員長は浴衣着るのか?」 「森崎君が私の浴衣姿を見たいっていうなら着てもいいかな」 「見てみたい」 真顔でそう言う森崎君が意外すぎて私の頬が少し赤く染まる。 「しょうがないな、じゃあ今度浴衣買いに行こうよ」 「そうだな」 「森崎君は行きたいところとかないの?」 「んー、夏だし海とかプールとかはどうだ?」 「いいじゃん!あとせっかくだし遠出もしたいな。ユニバーサルランドとか!」 「ユニバーサルランドは遠すぎないか?確か大阪だろ」 「じゃあダメか」 ユニバーサルランドには行けないと少し残念がる私に森崎君がある提案をする。 「ユニバーサルランドはいけないけどネズミーランドならいけるんじゃないか?」 「ネズミーランドもいいね! 夏休みはいっぱい遊ぼう!」 そんな話をしているうちに外は日が落ち始めていた。 「今日は遅いから帰ってから電話して予定決めない?」 「そうしよう、8時くらいでもいいか?」 「うん、じゃあ8時くらいに電話かけるね」 そう約束して今日は帰ることにした。 家に帰りつき夕飯を食べた後に森崎君に電話をかける。呼び出し音が鳴った後聞きなれた森崎君の声が聞こえる。 「もしもし」 「もしもーし。昼間の続きだけど何から話そうか」 「浴衣を買いに行く予定でいいんじゃないか?」 「そうだね、森崎君は浴衣着ないの?」 「浴衣持ってないからな、委員長が買うならなら買うか」 「じゃあ一緒に選ぼう! 買い物行くなら明日空いてる?」 「空いてるぞ」 「じゃあ明日の13時にしよう!」 そうして私たちは明日浴衣を買いにショッピングセンターへ行くことになった。 翌日、私たちは浴衣を買いにショッピングセンターへ来ていた。もう夏休みということもありショッピングセンターは若者であふれかえっていた。そんな中を森崎君とはぐれないように着物店へと向かう。 「見てよこれ、すごい浴衣の量」 「ほんとだな」 「こんなにいっぱいあると選ぶの大変だ」 「ゆっくり決めたらいいんじゃないか」 その森崎君の言葉に甘えゆっくり見て回る。 「森崎君はどんな浴衣にするの?」 「俺はなるべくシンプルなのがいいな」 「こういうの?」 そう言いながら女性用の浴衣を差し出す。 「ちげーよ! 女性用じゃねえか」 森崎君の反応が面白くてついからかってしまった。 「何かいいのあったか?」 一周回り終わって森崎君が聞く。 「うん、これとこれどっちがいいかな?」 そう言って私は白に赤の花柄の浴衣と白に藤の花の浴衣を持って交互にあてがう。 「んー、俺の感覚だけど藤の花のほうが委員長っぽいかな」 「じゃあ藤の花のほうにしようかな」 そう言って私は店員さんに声をかけ試着させてもらう。 「じゃーん、どうですか?」 「似合ってるんじゃないか」 「ふふ、ありがと」 試着室のカーテンを開けて森崎君に見せるとほめてもらえ少しうれしかった。 「森崎君はどうするか決めた?」 「何がいいかわかんねえから委員長が選んでくれないか?今度は男性用でな」 「んー、そうだね。じゃあこんなのはどう?」 そう言って私は黒にストライプの浴衣を持ってくる。 「シンプルでいい感じだな、試着してくる」 森崎君は浴衣を持って試着室に入っていく。 「どうだ?」 少しして試着室から出てきた森崎君は似合っていてとてもかっこよかった。 「うん、似合ってるね」 「そうか、じゃあこれにしようかな」 試着を終えた二人は浴衣を購入して店を出る。 その後はこのまま帰るのは少しもったいないということでおやつを食べたりウインドウショッピングをしたりしてから帰った。
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