第3章 恋心

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花火大会当日、今日は花火のある河川敷に集合した。 「ごめん、お待たせ。髪型気合い入れてたら遅くなっちゃった」 「ああ、髪型も浴衣も似合ってるな」 「えへへ、ありがと」 森崎君は短くてもこんなに髪型変えれるのかと感心している。ほめてもらえて私も頑張ってみつあみカチューシャにしてきた甲斐があったとうれしくなった。 「じゃあまずは屋台のほう行ってみようよ」 「そうだな、腹も減ったし何か食べよう」 森崎君はそう言って焼きそばやお好み焼き、たこ焼きとたくさん買っている。 「おいしそうに食べるね」 「うまいぞこれ、委員長も食べるか?」 「じゃあたこ焼きを一個もらおうかな」 森崎君の言葉に甘えてたこ焼きを一個食べてみる。 「あつっ、はぅはぅ」 たこ焼きは熱々だったがふんわりとろとろでとてもおいしかった。 「おいしいね」 「屋台で食べると三割り増しくらいうまく感じるよな」 「ほんとだね、ご飯食べたし次はかき氷でも食べない?」 「いいな、じゃあ行こうか」 300円払ってかき氷を買う。この屋台はシロップはセルフサービスらしい。 「シロップかけ放題だって! テンション上がるね」 「そうだな、子供のころはいろんな味を混ぜたりしたよな」 「そうそう、今日は何味にするの? 私はイチゴかな」 「俺はブルーハワイかな、昔から好きなんだ」 「おいしいもんね」 暑い夏に食べる屋台のかき氷の味はいつになっても絶品だ。かき氷を堪能していると森崎君が「見て」と言って肩をたたく。私が森崎君のほうを見ると森崎君は舌を出していた。 「わあ、すごい色じゃん」 「だろ、いつもこうなるんだよ」 「ブルーハワイだけすごい色になるよね」 そう言って笑う森崎君の舌は真っ青に染まっていた。 かき氷を食べ終わった私達は森崎君の希望で射的の屋台に来ていた。 「射的得意なの?」 「ああ、昔から好きでよくやったんだ」 そう言う森崎君は二発で小さいサイコロキャラメルを取る。 「え、すごい!」 「だろ、少し自信があるんだ。何か欲しいものあるなら狙ってみるぞ」 「じゃああのクマのぬいぐるみがいい!」 「なかなか難しそうだけどやってみるか」 そう言って森崎君はクマのぬいぐるみに銃口を向ける。一発目が命中するも真ん中すぎてあまり動かない。二発目はクマさんの耳をかすめて飛んでいく。そして最後の一発はというと見事ヘッドショットでクマさんが倒れる。 「やったー!」 そう言って森崎君とハイタッチする。そして景品のクマのぬいぐるみをもらって私のテンションはマックスに達していた。この時はまだこの後起こることなんて知る由もなかった。
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