36人が本棚に入れています
本棚に追加
/281ページ
「なぁ、ホマレ。
俺さぁ、お前みたいに楽器をやってみたいんだよ。」
そう言って、目を輝かせていた男子こそがそいつだ。
「あ、染日 孝人くん!
うん!
やろうよ!」
そうだ……。
シムビ コウト。
コウトだ。
彼も同じ学童保育に通っていたんだ。
クラスは別だけど、ホマレと同じ学年の男子だ。
コウトは、どちらかと言うと運動が得意で、音楽をやる前はサッカーをやっていたはずだ。
音楽が好きと言うよりも、目立つことが好きと言うタイプの、見た目は爽やかなコウトは、初めはそうやって近づいた。
今から思えば、あの時からコウトはホマレに恋をしていたんだ。
私は、男の子同士でも好きあっていてもいいし、恋人になってもいいと思ってる。
ただ、ホマレをとられるのがイヤって感情が私の心の中にあったのだけど、その頃の私は、私の中のモヤモヤした感情の名前が何というものかを知らないまま、日々を過ごしていた。
最初のコメントを投稿しよう!