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「やめてください!
奥には入らないでください!
帰ってください!!」
私は、冷たくも強い口調で言ったんだ。
カインと名乗る、目の前の男への言い知れぬ不快感に比例するかのように、お腹がシクシクしてくる。
くそっ!落ち着け!私の下腹部!
もちろん、目の前のカインには私の身体の事なんて関係ない。
カインは、私を目を細めて強く睨んでから、盛大にチッと舌打ちして、
「また来っからな~」
じゃばらカーテンに向けて、これ見よがしに大声を出して、どこかへと立ち去った。
なんて感じの悪いヤツ!!めちゃめちゃ不快だ!!
ともかく、ともかくはこれで一難去りだけど……。
……でも、それからはピタッとホマレのフルートの音色が止んだ。
気にしながらも、『どうしたの?』なんて聞くのは無粋なような気がした。
だって今、ホマレは演奏会前の自分自身と戦っているのだから。
私は、昨日届いたガラスペンとカラーインクをワンセットだけとんぼ玉の横に置き、
『店内にガラスペンあります』
そう書いた、小さめのポップスタンドを立てておいた。
こういうのも、本当はホマレの意見が欲しいところなんだけどね。
……その日、ホマレは自分の部屋からは出てこなかった。夜ごはんも食べずだ。
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