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倉庫の引戸を開けて、照明のスイッチをオンにして、私はあのリップを探した。
たしかこの辺に……。
棚の辺りだっけ?
中央は食べ物系だし。
……あれ?
リップが見当たらない。
おっかしいなぁ。
確かここら辺に……
あれがないと、私ヒールになれないじゃん。
まぁ、何かあったら連絡してもいいんだよね。
こんなときこそだよね。
日本とイタリアの時差は8時間で、イタリアが8時間遅れている。
と言うことは、向こうは午後0時だ。
まぁ、連絡して大丈夫でしょう。多分。
そうして、スマホ経由で連絡すると、どこかのカフェでエスプレッソを頼んだと言うアレイグラさんは、上機嫌な様子だった。
そうして事情を説明したのだけど……
『あ、コウヅキちゃん?
困り事なんだね?
ふんふん、まぁなんとかなるよ!
あ、それから、リップは回収しといたよ。
これからは自分の力でどうにかしてみて?
大丈夫大丈夫!
そういう点では、コウヅキちゃんはもう目覚めているから。
それじゃあね~」
とか言って、一方的に電話は切れた。
相変わらずだよ……。
全く!
自分の力でどうにかって言ってもさぁ……
どうすりゃいいのよ……。
目覚めてるって、意味わかんないっつーのよ!
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