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そんな事をうつうつと考えていたときのことだ。
眠いわけでもないのに、視界がぼやけてきた。
これから、ホマレの過去が私に流れてくる予兆だ。
天井からぶら下がっているのは、くるくる回るウサギさんのメリーゴーランドからは、優しい音色がこぼれてきている。
ホマレを抱き抱えて、ミルクを飲ませてから、自らの指をホマレに握らせていた。
「愛しいホマレ。
あなたは、音楽家になってくれるのかな?
私の叶わなかった夢を継いでくれると嬉しいけど、でも、これは親のエゴなんだよね。
ごめん、あなたはあなたで、のんびりゆっくりと大人になるといいよ」
これは、ホマレの母親だ。
優しくて穏やかで、愛にあふれている人だ。
ただ、父親は海外出張で年に一度か二度帰ってくるだけで、基本的に家にはいなかったし、母親は医療事務の仕事で基本的に日中は家にはいなかった。
だから、早期から保育園へと通うことになった。
場面が変わって、懐かしい保育園の風景が広がっていた。
そこには、二歳年下の幼い頃の私が、ホマレの周りをうろうろしている。
そうなんだよね。あの時から、私はホマレがとても大切だった。
二歳年上の親友。言葉以上にすごく大切な存在だ。
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