第四話:しがない音楽家

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 そんな事をうつうつと考えていたときのことだ。 眠いわけでもないのに、視界がぼやけてきた。 これから、ホマレの過去が私に流れてくる予兆だ。  天井からぶら下がっているのは、くるくる回るウサギさんのメリーゴーランドからは、優しい音色がこぼれてきている。  ホマレを抱き抱えて、ミルクを飲ませてから、自らの指をホマレに握らせていた。 「愛しいホマレ。 あなたは、音楽家になってくれるのかな? 私の叶わなかった夢を継いでくれると嬉しいけど、でも、これは親のエゴなんだよね。 ごめん、あなたはあなたで、のんびりゆっくりと大人になるといいよ」  これは、ホマレの母親だ。 優しくて穏やかで、愛にあふれている人だ。 ただ、父親は海外出張で年に一度か二度帰ってくるだけで、基本的に家にはいなかったし、母親は医療事務の仕事で基本的に日中は家にはいなかった。 だから、早期から保育園へと通うことになった。  場面が変わって、懐かしい保育園の風景が広がっていた。 そこには、二歳年下の幼い頃の私が、ホマレの周りをうろうろしている。  そうなんだよね。あの時から、私はホマレがとても大切だった。 二歳年上の親友。言葉以上にすごく大切な存在だ。
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