第四話:しがない音楽家

50/71
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/305ページ
「それはダメな行為です。 友達を大切にするというのは、行きすぎても一方的でもダメなのです。 お互いが(いや)にならないための、距離が必要なのです」  教師からそう言われたコウトの心の中で、割りきれない思いがくすぶっていたのだろう。その時からすでに、良くない方向へと向かっていたのかも知れない。  ともかく、その際の教師の指導で、コウトの中で高ぶったホマレへの気持ちは、独りよがりの自己満足と言うことで、距離を置くというで、一旦は解決したかに思えたのだった。  ……ここで終われば、まだよかったのだ。 まだ、幼い恋心で寛容に受け入れられていただろう。  コウトが抱いていたホマレへの気持ちは、コウトの元々の癇癪を伴って、激しい怒りへと変貌したのだ。
/305ページ

最初のコメントを投稿しよう!