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コウトは、下校時間に自分のフルートを組み立てからホマレの教室へと向かい、まるでただの棒きれの様に振り回し、やがて大きく振りかぶって力任せに机に打ち付けた。
その瞬間、銀色の美しい楽器は、まるで断末魔のような悲鳴と同時に、骨が折れたような鈍い音を響かせていた。
その光景は、音楽を大切にし、それを奏でる楽器をとても大切にしているホマレにとっては、あまりにもショックなものであった。
くの字に折れた楽器本体と、飛び散ったキーたち。あまりにも酷い光景に、ホマレは言葉を失って、その場で僅かな動きも取れないまま、ただただ涙をこぼしていた。
「お前が俺にこんなことをさせたんだ!
お前が俺のことを認めていれば、こんなことにはならなかったんだ!
お前が全部悪いんだ!!」
顔をしかめて、あまりにも理不尽な理由をつけて、大声で罵るコウト。そうして、自らの行為の全ての責任を、ホマレに擦り付けていた。
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