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『う~ん……。
言葉にすると、私自身の心まで汚れそうだったから、コウヅキにも言えなかったのもあったんだ』
ホマレは何を言ってるんだ。
ホマレの事なら、私はどんなことでも受け入れるってのよ。
それに、ホマレの心の汚れたのなら、私が一緒にきれいにする。例えどんなに時間がかかったとしても。私がホマレを支える。
「ホマレ。
私は聞く準備は出来てるよ。
ねぇ、話してよ」
そう言うと、ホマレは諦めたように話はじめた。
内容は、こんな感じのものだ。
大学の帰り、ホマレは少し歩いてバスに乗り、阪急の桂駅で降りてそこから阪急電車に乗り換えて、さらに地下鉄を利用して自宅へと帰っていた。
帰り道にお腹がすいた時には、時々桂駅で、この辺では有名なこってりラーメンをチャーシュー抜きでオーダーして、よく食べていたらしい。
その時に、店員の視線をものすごく感じていたことがあって、よい気分はしなかったものの、そんなこと関係がないかとラーメンを食べていた。
でも、視線を感じはじめてからの何回目かの来店の際に、そいつは自分の名前を伝えたらしい。
そいつの名前は、
染日 孝人。
あのコウトだ。
成長していたから、最初はホマレにはわからなかったものの、向こうは気づいていたようだ。
過去は過去として、それなりに懐かしさもあったこともあり、その際に、コウトは見たままの姿で、自らラーメン屋の店員として働いていることをホマレに伝えたし、ホマレは芸大に通っている事を伝えた。
その後は、そこでラーメンを食べることはなくなったらしいけど。
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