第四話:しがない音楽家

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 まぁこんな感じだったから、大人な良い感じの雰囲気になることもあったんだ。 だけど、過去のあの出来事から、ホマレ自身が、何らかの性感染症に罹患してんるじゃないかって気にしていたんだよね。  だから、そんなホマレのために、一緒に保健所に行って、いろいろ検査してもらったのが一週間前の事だった。  そして昨日は、陰性の知らせをもらって、ホマレも私もほっとしていた所だった。  つまり、これからは私たちの関係を進めてもいいって訳なんだよね。 目の前にまわって、同じ目線で私の目を覗いているホマレの瞳が眩しい。  そんな時だった。 「はいは~い。 おふたりさま! ごちそうさま!」  そう言って、肩をすくめていたマリンだった。 「え?いきなりどしたの?」  いきなり現れたマリンに驚いていたのだけど、 「ふしぎの国のアリス展 場所はあべべハルカス。 チケット買って、ついでに夜景が綺麗なディナーのお店と、おしゃれホテルの予約してきてあげたわよ? 後は任せて行ってらっしゃい!」  そう言って現れたのは、アカネちゃんを抱っこしているルルだった。 マリンの高い身長の後ろにいると、隠れて見えなかったんだね。 「え? でも、急すぎない? しかもホテルってさぁ」  そう言ったのだけど、ルルは私の肩をポンポンと叩いて、 「ヒール(heel)の仕事がいつ入るかわかんないんだから、行けるときに行っておかないと! 後は任せて、今から行ってらっしゃい!」  そう言われて、背中を押される感じで私は自分の部屋に入ったんだ。 なんだかドキドキしながら、私はお気に入りの水色のピアスをして、後はそれなりにおしゃれして出かけることにした。   まぁ、ファッションに関しては、マリンからは、 「コウヅキ……相変わらずね……」 って言われたけどね……。
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