ヒール(heel)な女子のピュアな気持ち

登場人物

「コウヅキ、あんたその髪どうしたん？」

　そう言われて、ほとんど反射的にベリーショートヘアの後ろ髪をつまんで言った。

「あぁ、切っちゃったんだよね」

　少し前まで腰まであったアッシュブラウンの髪の毛は、今はもうない。

　短大を卒業する少し前のこと。就職先なんてすぐに見つかると思ってたし、そんなのなんとかなると思っていたんだけど、見事になんともならなかったんだよね。

　短大の経済学部なんてこんなものなんだね。
いやいや、それは違うな。
短大のせいにしちゃいけない。
だって、周りはちゃんと方向性を決めていたし。
まぁ、無事に卒業できただけでも良しとするしかない。