ヒール(heel)な女子のピュアな気持ち

第一話：はじまり

　ホームで特急電車が来るのを待って、目の前でプシューっと言う音と共に開いた社内に乗り込んだ。
今日は土曜日だから、女性専用車両は設定されていない。

　もろ込みの車内だけれど、クーラーが良く効いているので、うだるような暑さはない。
だから、心のなかで『涼しい～！』と呟いてみる。

　動き始めた電車の中では、ほとんどの人がヘッドホンで何かの曲を聴いているか、スマホの画面を覗き込んでいる。

　そんないつもの風景のなかで、私は中吊りの広告を見上げていた。
六甲ガゥデンテラスの広告には、自然溢れる環境の中で白いウッドテーブルについて、女子二人が幸せそうに紅茶を飲んでいた。

六甲かぁ。
中学生の時の宿泊学習以来行っていないなぁ。

　その隣の広告には、あべべハルカスでのふしぎの国のアリス展についてのものだった。
そっちは凄く気になる！
親友のツドウホマレを誘っていってみようかな。