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「ではおまえは、また還るか。何度も封じられ、思うように行動もできず、私たちの運命に絡めとられるだけで終わる循環を、また何度も何度も繰り返す運命に」
だから、強く出た。
この言葉に、クレネの本気を感じ取ったのだろう。
からかうようだった態度が、真剣なものに変わった。
「約束してくれるなら、おまえを汚し、堰き止め、人間にばかり都合よく利用しないよう、子々孫々まで言い伝える」
『ダガ、オマエタチハ、イチド、ヤクソク、タガエタ』
たしかにみづちの言う通りだった。
だが、それでも。
それでも。
「それでも、もう一度だけ試してみないか。大きな都では、私の……、私の一族の力では、及ばなかった。だが私の村はどうだ……? 水と共生できていたではないか」
前世の色々な人生を思い出しながら、説得を試みる。
「この星は小さい。巨大なコミュニティになるのは難しい。船に乗っている者たちだって、人数は決して多くはない。その規模なら、約束を守り続けることが可能かもしれない」
明らかに、みづちから流れてくる気配が変わった。
何代もの転生を目撃してきたからこそ、クレネの言っていることが、理解しやすかったのかもしれない。
『ヨカロウ。アト、イチドダケ、タメシテヤッテモヨイ』
とうとう、そう答えた。
存外、話のわかる相手のようだ。
いや、『我は人間が好き』……、そう言っていた、童子姿のみづちを思い出す。
これまではその言葉に、甘え過ぎたのかもしれない。人間ばかりが、相手を利用ばかりしていたのかもしれない。
だから、今度こそは、互いに喜びを分かち合えるように歩み寄らなければいけないだろう。
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