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大谷はそう言うと、ザラザラザラと音を立ててケース入りミントの中味を全部、一気に口へと放り込んだ。
禁煙を始めたはいいが、どうも口寂しくてしかたないらしい。刺激を求めてなのかなんなのか、ここ半年のあいだずっとこの調子だ。
以前はタバコの箱で膨らんでいた胸ポケットが、今ではミントのケースを何個も入れているせいでぱんぱんになっている。
澪からしたら、これはこれで胃に悪いんじゃないかと心配になる勢いである。
「そんなこと、あり得るんですか」
「まあ都市計画なんかで、同じ時期・同じ区画に一斉に建てられたりした場合はなぁ。だいたい同じようなタイミングでガタが来るってことは、なくもないかな」
「ここら辺りがそうってことですか」
「確証はないけどな。あくまでそういうケースもある、って程度の話で。この町出身の瓜生さんなら、そういうことも詳しいかもしらんが」
「へえー。帰ったら、訊いてみようかな」
「まあ、それにしたって頻繁すぎるけどなぁ」
「ですよね」
そんなことを話しているうちに、現場に着いた。
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