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翌日の放課後にもなると、私たちが別れたことはクラスじゅうに広まっていた。
それもそのはずだ。私たちはクラス公認の仲だったのだから。
「リッコ。コタと別れたってほんと?」
コタが部活で教室を出て行ったのを見計らったように、宮尾さんが私にささやいてきた。
私を気遣うかのような小声だけど、アンテナを張った周囲のクラスメイトには筒抜けだろう。それはきっと、宮尾さんも自覚しているはずだ。
「うん、ほんと。宮尾さん協力してくれたのに、ごめんね」
「そんなこといいよぉ。辛かったら、話聞くからね」
優しい言葉に、背筋が冷たくなった。本人から聞いた恋の顛末は、宮尾さんの派手なグループ内で共有されるんだろう。
「うん。ありがとう。また話、聞いてね」
急いでないふうを装って、帰り支度を終えた。教室を出ると、やっと息ができた気がする。
べつに私は、宮尾さんやクラスメイトとの関係が悪いわけではない。
宮尾さんはみんなに気さくに話しかけてくれるかわいい子で、私も誰にでも話しかけられるくらい打ち解けている。ちゃんとお昼を一緒に食べる仲良しもいて、平和な教室なのだ。
だからこれは、私の問題。
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