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「大切なお子さんの涙、お辛いですよね」
校長は自分自身が心を痛めているかのように顔を歪ませた。
「宿題忘れって怒られることか?暴力を振るった訳でもあるまいし。校長先生は忘れ物をしたことないですか?この先生はきっと忘れ物をしたことがないんだろうけどなぁ」
だんだんと怒りのボルテージが上がり、怒鳴りながら小野美咲の方に視線を向けた。小野美咲の目から涙が流れた。恐怖ではない。この理不尽な状況に対する悔しさからポロポロと涙が止まらなくなった。自分自身が泣いていることも悔しい。
「何泣いてんだよぉ」
男の怒りは頂点に達し、顔を真っ赤にして血管を浮き上がらせていた。
「お父さん」
この場には相応しくない落ち着いた校長の声。
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