教育の未来~大逆転~

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「校長を呼べっ!」 辺りが暗くなった夕方、職員室前の廊下に怒号が響いた。対応しているのは今年3年目になる若い女の教員。4年生担任の小野美咲は、熱心な指導で周りからも高い指導力を認められている。 「お前じゃ話にならない。今すぐ校長を呼んで来いよ」 廊下の声が聞こえ緊張が走る職員室。先生たちの手が止まり、聞き耳を立てるように静まり返った。 (校長は・・・) みんながそう思った瞬間、職員室と校長室を繋ぐドアが開いた。この学校は校長室と職員室が繋がっている。校長は表情を変えず、副校長に、 「対応しましょう。校長室にお茶を用意してくれるかな」 そういって廊下に出た。 「私が校長の石田ですが」 現れた校長に対しても尊大な態度を崩さず、 「あのさー」 クレーマーは喧嘩腰で突っかかっていく。 (終わりだ) 小野美咲は思った。校長のあだ名は「昼行灯」。そのあだ名の通り、職員室で役立たずと罵られるほど、仕事ができない人間だった。口癖は「優秀な先生方に全て任せていますので」。学校運営に口を出すことはなかった。ある意味、職員はやりやすさを感じていたのだが、仕事をせず逃げているだけ、もっと管理職としてリードして欲しい、という不満も大きかった。 「どうか、なさいましたか?」
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