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無職
コマリとマリオが2回目のチャレンジガチャをした。結果は2人ともスキルがレベル3になったらしい。
「2人とも、良かったな」
「うん」
「そうだね」
そして、さらに月日は流れ、コマリとマリオは15歳の誕生日。
2人が通う王都英才学校にチャレンジガチャの装置があるので、2人は学校でガチャを回した。
2人ともレベル4だった。
「2人ともレベル4でしたか」
「カリー先生、元気だしなよ。ビンタしようか?」
「いや、私は別に落ち込んでないですが」
「そう?」
「コマリさん、今日でお別れです」
「別に、いつでも用があるなら会いに来るよ」
「いえ、できれば会いたくないです」
「先生、我慢しなくていいんだよ」
「いえ、本当に。それより、この書類にサインを」
「何、これ?」
「コマリ、返済契約書だよ」
「先生、私に借金とかあったかな?」
「コマリさんが国に返すんです」
「あ、そっちね」
「はい」
2人は成人したので、学校に通った3年間の費用を返済する書類にサインさせられた。
スキルがレベル5以上で、国家上級公務員になるなら学費は免除なのだが、2人はレベル4だったので上級公務員になれない。
なので、3年間の学費を10年以内に返済する義務が生じたのだ。
「コマリ、ちゃんと返せよ」
「マリオもね」
「俺はちゃんと計画的に返す」
「私も計画的に返すし」
「コマリの口から計画的って言われてもな」
「私は常に先を考えて計画的に生きてるもんね」
「返せなくなっても俺は貸さないからな」
「その時はお兄ちゃんに頼むよ」
「怒られるぞ」
「怒るかな?」
「俺たち成人したからな、怒るだろ」
「うわー、怖いんだけど」
「怒らせないようにすればいいんだよ」
「そうですよ、コマリさん」
「お兄ちゃんが怒ったら、カリー先生、助けてくれる?」
「……私は今日でコマリさんとはまったくのこれっぽっちも関係ないですから」
「先生と私の仲なのに?」
「カリー先生」
「あ、はい」
「コマリさんとはどんな仲なのですか?」
学校長がカリー先生に尋ねた。
「は? いや、本当に何の関係もないです」
「先生、私に色んな事を教えてくれたよ。『これは大人になるのに必要なことなのです』って」
「カリー先生?」
「いや、学校長、誤解です」
「本当にコマリさんと一線を越えてませんか?」
「絶対に越えてません!」
「先生、私を裏切るの?」
「コマリさん、そんな誤解されるような発言はやめなさい」
「マリオくん」
「はい」
「1万円で本当の事を教えてください」
学校長がマリオに1万円銀貨を渡した。
「ありがとうございます。お金に誓って嘘は言いません」
「うん」
「コマリに関しては、カリー先生は無実です」
「マリオくん、ありがとう!」
「いえ」
「マリオくんが保証するなら私も信じます」
「……」
(学校長、俺の信用は?)と思うカリー先生だった。
ダース家ではコマリとマリオの成人祝いのパーティーが行われた。
「父さん、挨拶」
「あ、そうだな。あー、あれだ。コマリとマリオは卒業おめ……卒業はできなかったが、無事に3年間、学校に通えたし、そんなに大きな問題も起きなかった。成人おめでとう、乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
成人したので、お酒も家族全員みんな飲めるようになった。
コマリとマリオはお酒を飲んでみた。
「うへー、変な味だ」
「美味しくない」
「ふっ。まだお前たちは子供だな」
ぐびぐびと酒を飲む父親。
「そんな変な味の飲み物、よく飲めるね」
「だな」
「ふっ。これが大人の味ってやつだ」
ぐびぐびと飲む父親だが、まったく酔わない。
「でも、父さんはぜんぜん酔わないね」
「そうだよね」
「ん? そう、そうなんだ」
「え?」
「数年前からな、酒をいくら飲んでも酔わなくなった」
「へえー」
「あなた、いくら酔わないからって飲み過ぎは駄目よ」
「分かってるって」
身体自動回復により、お酒を飲んでも瞬時にアルコールは無毒成分に分解されているのだ。だから、いくら飲んでもジュースを飲んでいるようなものだ。
「お兄ちゃんはお酒、美味しい?」
「いや、別に。出されたら飲むけどな」
「だよね」
「あー、おめでたい席で何だが、残念な報告がある」
「何よ、あなた」
みんな父親の発言に注目した。
「コマリとマリオが上級国家公務員になれなかったから、俺も解雇された」
「「「え?」」」
「いやー、いきなり終業時間に上司に『明日から来なくていい、君は解雇だ』って言われてな」
「何それ、ひどいわね」
「その上司、ビンタしたいよ」
「慰謝料をもらうレベルだね」
「父さん、退職金とかは?」
「無い」
(それ、ひどすぎるな)と思うナオスだった。
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