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成人
13歳の誕生日に回したチャレンジガチャでレベルアップに当選したナオス。
ナオスのスキルはレベル10になった。
(スキルのレベルって9が最高かと思ってたけど、10もあったんだな。もっと上もあるのか?)
ステータスを見てそう思ったが、スキルの補足が無くなっている。
(あれ? スキル補足が無くなっているぞ。レベル10だと、どこまでリフォームできるんだ? 何でもリフォームできるのか?)
リフォーム Lv.1の時にはスキル補足で「少し壊れた物を少し直せる」と書かれていたのだが、レベルアップしたら何も書かれていない。
(レベル10だったら、かなり壊れた物をかなり直せるってことか? まあ、俺はレベル3の修復師として生きていくけど)
その日のナオスの誕生日会は盛り上がった。ナオス以外の家族が。
「ナオス、やったな」
「まあ、うん」
「ナオス、母さんは嬉しいわ」
「まあ、良かったね」
「お兄ちゃん、レベル3なら私の全力ビンタにも耐えれる?」
「いや、無理」
「兄ちゃん、レベル3ならガッツリ稼げる?」
「いや、そこそこだろ」
「チャレンジガチャはあと2回か」
「うん」
「もしかして、レベル9まで行っちゃう?」
「さあ」
「お兄ちゃん、ビンタしようか?」
「何でだよ」
「兄ちゃん、僕は王女様と結婚したいんだけど」
「そうか、結婚できたら良いな」
そして、ナオスは14歳になった。
2回目のチャレンジガチャを回す。
結果は白い玉でハズレ。
レベルはアップしないでレベル10のままだ。
15歳の最後のチャレンジガチャも白い玉でハズレだった。
(やっぱり、レベル10が最高なのか?)
「お兄ちゃん、残念だったね」
「まあ、そうだな」
「ビンタする?」
「しなくていい」
「兄さん、俺は錬金術師になりたい」
「そうか、なれるといいな」
「うん。錬金術師って、土を金にできるからね」
「まあ、レベル10ならできるかもな」
「私は勇者になるよ」
「コマリは勇者になりたいのか」
「勇者ならビンタしても怒られないよね?」
「まあ……そうかもな」
「やった〜!」
(いや、ビンタして怒られないのはプロレスラーだな)
ナオスの転生した国では15歳が成人なのだ。
「ナオス、成人おめでとう」
「ありがとう、父さん」
「早いわね〜。この前まで赤ちゃんだったナオスが成人って」
「この前までは14歳だったけど」
「お兄ちゃん、家を出ていくの?」
「いや、どうかな」
「兄さん、結婚しないの?」
「相手がいないし無理だな」
ナオスはしばらく実家に居候することにした。
成人した若者は都会に出ていったり、いきなり結婚して独立する人も多いのだが、ナオスは面倒なので実家暮らしを選んだ。
翌月、ナオスの妹と弟が12歳になった。
「気合だー! 3、2、1、勇者だー!」と叫んでガチャを回したコマリは赤い玉を出した。
「やった! やっぱり気合だよ!」
命より大事な貯金すべてを泣きながら教会に寄付したマリオは、赤い玉を出した。
「良かった……ハズレだったら教会を燃やそうと思ってた」
ボソッと言ったマリオの言葉をナオスは聞いていた。
(マリオ、お前はサイコパスか?)
コマリは勇者レベル1、マリオは錬金術師レベル1。
「やったー! 本当に勇者だ!」
「マジかよ」
「神様! ありがとうございます!」
「マリオ、錬金術師だったのか?」
「うん!」
「良かったな」
「うん」
錬金術師も珍しいが、勇者は滅多に出ない激レアスキルなので、町中が大騒ぎになった。
勇者は王都に呼ばれるらしい。
ダース家は王都へ引っ越しすることになった。
引っ越し費用はすべて王国が出してくれるらしい。
(王都に引っ越しか。面倒だな。しかし、この家に一人暮らしはもっと面倒かもしれない)
成人しているナオスだが、一人暮らしは大変そうなので家族と共に王都へ行くことにした。
「私の勇者パーティーにお兄ちゃんも入れてあげるよ」
「……凄え上から目線だな」
「えへん!」
「褒めてないからな」
「私の勇者の剣とか壊れたら、お兄ちゃんが直してよ」
「錬金術師のマリオに直してもらえよ」
「マリオ、王女様と結婚するから勇者パーティーには入らないって」
「なら、聖女スキルとか持ってる王女を勇者パーティーに入れたらいいだろ」
「あ! お兄ちゃんは天才だね」
「いや、それほどでも」
「褒めてないよ?」
「何で疑問文なんだよ」
「王都、楽しみだね」
「いや、別に」
「お兄ちゃんはツンデレだね」
「……そうかもな」
(コマリが勇者か。王都は、いや、この国は大丈夫なのか?)
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