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「もしもし、荒木か? 本日午前八時より初回の捜査本部会議が始まる。非番の日にすまないが、出て来てくれ」  刑事課長の木村の電話で起こされたとき、時刻は午前七時を回ったところだった。  荒木海斗(あらきかいと)は二十五歳、警察署の刑事課強行班係に所属する巡査長。まだまだ新米刑事と言ってもいい。新米といえど刑事たるもの、事件が発生すれば非番であれ夜中であれ、出動しなければならない。  木村課長の口調から、ただ事ではない事件が発生したと察せられる。 「わかりましたが、何があったんですか?」 「コロシだ。市内のX町の民家で、親子三人の死体が発見された。現場には鑑識と佐伯らを向かわせている」  三人の殺人となると、大事件だ。もちろん県警察本部と警察署で捜査本部が起ち上がることになる。  荒木はまだ捜査本部ができるような大きな事件は経験したことはない。  独身寮の自室のベッドから起き上がり、洗面所で顔を洗うと、パジャマを脱いでスーツに着替えた。
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