01.過ちにキス

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「最近アレ(・・)もないんだよね」 「え、同棲始めたばっかなのに?」 「そうそう。一緒に住み始めてすぐの時は、このまま早く結婚して子供が欲しいねなんて言って毎日のようにがっついてたくせに…たった2週間でパタリとなくなったわ。今では腕枕もなく先に寝られる」 「2週間て早すぎじゃん」 「まぁ付き合いは長いから元々あまり女として見られてなかったのかもしれないけど。いよいよ『私は家政婦か?』って、なんか虚しくなってくるよね」 「でも我が家もそんな感じよ?向こうのタイミングで求められてもこっちが無理だったりするし。そうだな、最後にしたの、2ヶ月前かも」 「やっぱみんなそんなもんなのかな。まぁ別に特別やりたい訳でもないけど、全く求められないのもなんかねー」 「まぁずっと一緒にいると女として見られなくなるってのはあるよね。反対にこっちも男として見られなくなるし」 旦那どころか彼氏もいない私には全くついていけない会話だけれど、将来の勉強だと思って相槌をうちながら耳を傾ける。 そうしながらも、度々出てくる“女として見られなくなる”という言葉に、チクチクと胸を抉られていた。 女として見られなくなる、ということは、それまでは女として見られていたということ。 はじめから女として見られることがない私は、一体どうすればいいのだろう。
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