01.過ちにキス

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そもそも、お前を幸せに出来るのは俺しかいないってなんだ。どちらかというと不幸にさせてきた側なのに。 だからこれは絶対に罰ゲーム。この人は平然と嘘を吐く男なんだから。きっと高校からの数年間、桜佑から逃げ続けていたことをずっと根に持っていたんだ。 だからって、仕返しの内容が濃すぎやしませんか?だって… 「……あの、ひとつお伺いしたいことがあるのですが」 「なんだよ」 「私はどうしてこんな格好なのでしょう?昨晩、私達の間に何がありました?」 「そんなの、婚約者が同じベッドの上にいてやる事なんてひとつしかねえだろ」 ひとつしかないことないでしょ?!って言い返したいのに、セックスしましたよってハッキリ言われるのがこわくて聞けない。知りたくない。 罰ゲームのレベルが昔と違いすぎる…これならまだオスゴリラの方がマシだ。 「…どうしてもなかった事に出来ませんか」 「無理。いい加減諦めろ」 「ですよね」 最悪な事態だけど、こうなってしまったのには自分にも責任がある。それに今日から“婚約者”になったといっても、所詮私達の間で交わされた口約束だ。 「例えばだけど、どうすればこの婚約を解消出来る?」 「婚約してすぐにする話じゃねえだろ。縁起でもない」 「私達が婚約すること自体が縁起でもない話でしょ」 桜佑のことだ。2週間くらい経てばすぐに飽きるだろう。 だって桜佑と結婚どころか、手を繋ぐことすら想像出来ない。どうせ婚約者らしいことなんて何もしない。この男が私に甘い台詞を吐くなんて絶対に有り得ないし。 「だったらこうしよう。どちらかに先に好きな人が出来たら終わりってことで…」 「俺はお前が好きだけど」 「…っ、」 この男が私に甘い台詞を吐くなんて、絶対に有り得ないはずなんだけど?!
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