みどり

1/6
前へ
/20ページ
次へ

みどり

 俺は知っている。  彼には絶対に手が届かないと。  俺は知っている。  彼の頬を透明な珠が滑り落ちたとき、胸にあったのは彼女の面影だということを。  俺は知っている。  彼の胸には、ひとり分の住処しかないということを。  それでも俺は、彼のそばから離れることはできない。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加