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そんなわけ、ないじゃないか。みどりは、彼と毎日同じ屋根の下で暮らして、もう生活の一部に組み込まれていたのだから。
心臓が痛い。家族ではあるけどそれ以上でもない。彼女だって、そこまでの存在だ。それ以上にはどうしたってなれない。
でも、俺は。家族ですらない。なのに、それ以上の地位を望むなんて馬鹿げている。分かりすぎるほど分かりきっていることなのに――。
木の根元にうずくまり、頭を垂れる。意識がなくなる前に脳裏をよぎったのも、やはり彼の顔だった。
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