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軽く首を傾げてリオが続けた。
「神谷のじーさんに勝手に死体を埋められた土地の地主さんは気の毒だけど、当人がそれに気づいていらっしゃらない限り、そのまま心穏やかに暮らしていただけばいいんじゃない?
もしも将来、運悪く死体がみつかっちゃったら、それはもうご近所トラブルの一環とでも思ってもらうしか。
土地を所有するって、そういうことだよね」
ざっくりした見解を述べたリオが、
「もちろん、あの死体がみつかればそれなりの騒ぎにはなると思うけど。それくらいの心労は経験してもらってもいいんじゃないかな? 俊介さんと倫香さん、瑞樹さんに」
突き放すように言った。
「そう、かな」
浮かない表情の菫に、
「そんなの、スーや僕が心配することじゃないでしょ。それに」
あっさり言ったリオが、窓の外に視線を向ける。
つられて菫も、彼の向こうの窓に目をやった。
ふたりの前で勢いよく流れ去っていく、都会の夜景。
夜の闇に浮かんでは流れる、無数の光を背景に、
「大丈夫。死体はまだ、みつからないよ」
リオは白い横顔に、ミステリアスな笑みを浮かべた。
【 了 】
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*:゚・✰お読みいただき、ありがとうございました✰・:゚*
リオとスーのお話、楽しんでいただけましたでしょうか?(どきどき)
こんなお話も悪くないね、と思ってくださった方は、よろしければ、こちらの青春ミステリーもどうぞ ⇒https://estar.jp/novels/25715188
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