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山田さんからの頼みを無下にすることができない俺は、山奥でカジノを開催した。
商店街より路地裏、路地裏より山奥の方が狂った奴らがよく集まり情報交換の場にもなる。
山奥のカジノは廃墟をそのまま使っているため、外からでも中が騒がしいことくらい分かる。
だが、今日はカジノ特有の騒がしさというより、めんどくさい方の騒がしさがある。
警察でも来たのか?
そんな嫌な俺の考えは見事的中した。
中に入ると客たちが一斉にこちらを振り向き、口々に「サツが!」と言った。
指差された方を見ると、見覚えのある顔と新顔がいた。
何も警官服で来なくても…
「あー、VIProomへお連れしろ」
誰に言うでもなく口にすると、客の中の一人が彼らをVIProomのある三階へ連れたいった。
「サツが来たが、安心しろ。今日も楽しめよ。」
それだけ言って、俺も三階へ上がった。
三階の角部屋に警部たちがいた。
俺は部屋に入ってソファに腰かけた。
「なーんでくるかな?」
目の前にあるもうひとつのソファに座っている警部を睨むと、警部は不服そうに口を開いた。
「捜査が、難航している。」
警部の名前は吉崎一朗。
吉崎が言うには、例の事件で警察でも手がかりが少なく捜査することが難しくなっているとのこと。
やはり、警察は山田組を頼ったんだな。
山田さんからもその話が来ているから、警察→山田組→俺の順に回ってきたんだな。
「…そっちの新顔は?」
吉崎の横で顔を青くして震えている新人。
彼は安西海斗と言うらしい。
「安西…安西、ね…まあいいか。んで、警察としては俺に何を求めてる?」
「情報の提供と、捜査の協力だ。勿論無償ではない。」
「いくら出せる?」
「…200」
200か…少ないな。だがまぁ、カジノの運営を目を瞑ってくれているから、今日くらいは良いか。
「交渉成立だ。次からはその警察服を着てくるなよ。ここの奴らは敏感だからな」
「あぁ、協力感謝する。」
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