あの日の真実

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* * * *  夢を見た。俺たちはまだ小学生で、あの臨海学校の日だった。  泳げる俺と泳げない恵那は必然的に違うグループになっていた。浅瀬で楽しそうにしているのは女児が多かったが、俺の目には自然と恵那が目に入る。  恵那の水着姿なんて見慣れているはずだったのに、海という特殊な設定が付くだけで、キラキラ輝いて見えたんだ。  キャンプファイヤーでは偶然恵那と踊るタイミングが来た。 「あっ、泰生だ!」  そう言って笑った顔が、キャンプファイヤーの火の明るさに照らされ、いつもより女の子っぽく見えた。  その後にたまたまクジでペアになった恵那と肝試しに行くことになり、怖がりの恵那は俺の腕にしがみついてくる。その時、腕に当たる恵那の胸の感触に俺は極度の緊張感を覚えた。 「わぁ……怖いのに星が綺麗すぎる……」 恵那が呟き、俺は空を見上げる。普段住んでいる場所ではこんなに星は見えない。あまりの美しさに心を奪われた。 「見えなくても、こうして輝いてるんだね」 「そうだな」 「なんか泰生みたい。本当は優しいところもあるいい奴なのに、しっかり者の面ばかりが目立っちゃうんだよね」 「……そうなのか?」  恵那はにっこり微笑む。 「いつかまた一緒に見に来たいね」 「……いつかな」  その後、先生たちが準備したお化けに恵那は叫び続けていた。俺の緊張なんて気付かずに……。  こうして俺の中の"友達の恵那"が音を立てて崩れ、たった一日で彼女への見方が変わってしまったのだ。 * * * *  目を覚ますと、恵那が泰生の胸の上に重なり、ニコニコしながら鼻をつついてくる。 「おはよう。今日は私の方が先に起きちゃった」  あの頃と変わらない笑顔が、泰生の心に温かい風を吹き込んでくれる。  泰生は恵那の体を抱きしめた。 「目が覚めてすぐに恵那の顔が見られるなんて夢みたいだ」  そう言ってから体を回転させ、恵那との位置を逆転させる。泰生は恵那の体をベッドに組み敷くと、彼女の腹部に指を這わせる。 「夢じゃないって確認していいか?」  恵那は困ったように視線を泳がせてから、小さく頷く。 「……後でスクランブルエッグ、たくさん作ってよね」 「もちろん」  泰生は頬を緩ませてから、恵那を味わうように唇を重ねた。
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