天使依存症

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私が一番に愛して、最も傍にいた。 君にとって特別なのも、おそらく私だけ。 これからも私だけの君であると疑わないだろう。 だって彼女が映した君は、私だけを見ていたんだから。 その真実だけを信じることにしよう。 天使という特権に縋って、私たちは共依存を重ねていたの。 ずっと、生(ぬる)い虚構を見ていた。 理想の未来は、二人ともが段々と違っていったんだろう。 あのままでよかった私とは違って、君はあのままでは窮屈に押しつぶされていたのかもしれない。 自由で気分屋の君だからこそ。 だから君が羽根を捧げたのは、ただの手段だと思うことにするよ。 だけどもしも、胸の内を語っていてくれたら。 それでもいいのに、って応えられたのにね。 理由を知った今、君が逃げた場所にいるのは耐えられない。 決して神聖でもない、この天国にいるなんて。
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