天使依存症

14/14
前へ
/16ページ
次へ
地上で言う夕方の時間、私は地面に降り立った。 彼女はすぐに私を見つけると、目を見張ってくれた。 翼を掴んで引っ張る。 羽根を亡くすことが本当に悲しくて、君の元にいけることが途方もなく嬉しい。 ──はやくおわらせなきゃ。 零れる涙を拭うのは勿体なくて、数本の羽根を束にしながら彼女に歩み寄る。 「君さえいればいいよ」 返したかった台詞をなぞって、私はを抱き締めた。 自分自身の感覚がじんわりとぼやけていくのがわかる。 彼女を通じて、君の傍にいられるまで、あと少し。 ようやく、一番大切なことが解った気さえした。 絶対に幻聴にすぎないけれど、不意に、君の声が聞こえた。 「愛してる」 ありったけの気持ちが届くように、同じ言葉を返すと。 綿雲にくるまれたような心地よさと、 最上級の幸福と共に、 私は
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加