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みんなから愛されていた君は今、みんなから酷く憎まれていた。
「彼奴のことは忘れなさい」
「人間なんかの為に我々の尊厳を捨てた」
「反逆者だ」
君はセル、っていうのに。
最早、誰も君のことを名前で呼ばない。
君を思い浮かべては、腹立たしそうに顔を顰めて、可能な限りの暴言を吐くだけ。
忘れる、なんて。
君が消えて五日目だよ。
まだ一週間も経っていないのに?
可哀想、と私は慰められた。
ずっと騙されていたのよ、と私は諭された。
それらを大声で否定できなかった。
嘘だよ、
全部、嘘に決まっているの。
……何処から、何処まで?
どの事実が真実なのか、
分からなくなっちゃった。
真昼間しかない此処ではなく、
地上の真夜中で泣きたいと思った。
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