3人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前の所為だ」
まるで悪魔みたいに。
自分でも聞いたことのない低い声で、私は澱んだ言葉を放っていた。
底のない海のような嫌悪が、蓋のない空のような憎悪が、私の身を蝕んでいく。
消えてほしい、
死ねばいいのに。
……殺してしまおうか?
悪魔のような思考が心を奪っていく。
止められない。
止めたくもない。
濁りなんてなくて澄みきった、幼気な瞳で私を見る彼女の目の前に立った。
手を伸ばす。
首に触れる。
これで君が取り戻せるわけでもないけれど、
報われるなんて露ほども感じていないけれど、
ただの自己満足だと、解ってはいるけれど。
──力を込めた瞬間。
彼女が白く眩く光って、私は強く吹き飛ばされた。
幕のような靄の中に、幻影が映った。
最初のコメントを投稿しよう!