Insomniastronaut

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 簡単に方が付くと高を括っていた侵略の苦戦の末の困窮で、駒として使い捨てされた果てに筆舌に尽くし難い蛮行に走った鬼畜兵たちの姿が世界に報道された。  国家全体としての倫理の欠如を非難されるも開き直った独裁者は、禁じ手の兵器を使って全世界に先制攻撃を打って仕掛けた。  報復は連鎖し破壊がパンデミックのように世界に蔓延した。  第三次世界大戦が終わった。地球の人口は半分になった。同じく住める地表も半分になった。絶対的な暴力支配だけが残った。革命が勃発し戦犯狩りが始まった。    命狙われている戦争の仕掛け人たちは、環境汚染と資源や食糧の枯渇で文明が衰退し滅亡を免れないことを早い段階で試算していた。独裁者はあれだけ渇望した世界を己が手中に収めることを諦めざるを得なかった。奴らは復興よりも新天地を求め祖国を棄てる計画を、侵攻の裏で着々と進行させていた。  けれど独裁者を筆頭にした戦争責任者たち重要人物の殆どは処刑を待たずに自らの命を絶っている。 「この宙船はいったい何を運ぼうとしているんだ? 大勢を乗せるにはそんなに大きくないけれど......」  俺はこのプロジェクトに必要らしき宇宙飛行の訓練を強制させられながら疑問に思った。  
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