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次の日は昨日とは打って変わって、晴れの日だった。昨日の疲労が残ったまま、日の射す方へ歩いて行く。
逃げた先に当てなどない。
ただ、あの場所から遠ざかるしかなかった。
何日も何日も何日も何日も、ただの広い草原を進んで行く。
一日中陽光が降り注ぐかと思えば、翌日は雨に見舞われる。屋根のない生活がずっと続いた。
もう追手は来ない。だが少女は進むしかない。
このままでは、食料もなく、狼の食料となる運命だろう。
馬と同じものを飲み食いしながら進んで行く。
頬もこけ、目も落ち窪んできた。
黒髪は艶を失い、黄色の瞳に淀みが垣間見える。
あの日から何日経ったのだろうか。
ついに少女は街道脇で意識を失って、うつ伏せに倒れ込んだ。
ごめんなさい、姉さん。私、もう……。
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