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「ええ。なぜ、吸入薬がないのかを不審に思っている様子でした。お前が隠したんじゃないかって、暗に責められているような気がして」  石原は両手で頭を押さえた。 「そんな・・・・・・」 「滝島さん。吸入薬のこと何か知らないですよね?」 「まさか。知りませんよ」  胃がキリキリと痛んだ。本当のことを告げたら人生が終わるかもしれない。 「そうですよね。お隣さんっていっても、そんなことまではね」 「ええ」 「それにしても、並木さんって不幸な人だよなぁ」  石原はつぶやくように言った。 「旦那も息子も死んじゃって孤独になってさ。しかも、かなりの借金があったんだよ」 「そうだったんですか」  並木の意外な事実を知った。
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