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「旦那が友達の連帯保証人になってたみたいでね。そうとうな金が必要だったらしいよ」 「あ、だから家賃を滞納してたんですかね」 「おそらく。会うたびに“金が必要、金が必要”って切羽つまった顔で言ってたんだよ」  そこまで金が必要だったら、どうして貞雄が渡した金を受け取らなかったのだろうか。 「滝島さんのところにも警察が行くかもしれないな。すまない・・・・・・」  石原はため息をつくと、小さく頭を下げて公園を去っていった。  貞雄は目眩がした。  もしも警察に吸入器のことがバレたら、何か罪に問われるのだろうか。  子供がやったことだからで済む話ではない。それは理解している、が。 「パパ、帰ろうよ」  砂場から輝也が駆けよってきた。  小さな手を握りしめ、親子で帰路についた。この子の未来だけは守らねば。  死んだ妻のためにも。  見慣れたはずの街の景色が、今日はいやによそよそしく感じる。  貞雄は帰宅すると、すぐに吸入薬をタンスの奥に隠した。  その時チラリと、綿ロープの縄跳びが見えた。
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