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日曜日の朝。
天候に恵まれた休日だった。貞雄は輝也を連れて公園に行くことにした。
だが、マフラーをまいてニット帽をつけた時、チャイムの音が鳴った。
――誰だろう。
玄関を開ける。
目の前に現れた二人組のスーツ姿の男を見て、貞雄は嫌な予感を覚えた。
「こういうものです」
ドラマで観たことがあるシーンがフラッシュバックした。
彼らは警察手帳を提示した。
「滝島貞雄さんですよね」
「は、はい」
それから二十分ほど、警察から事情聴取をされた。
隣人の並木さんとはどんな関係だったのか。
並木さんは最近おかしい様子がなかったか。
管理人と並木さんに何か深い関係はなかったか。
ドーベルマンのような険しい表情で聴取され続けた。
貞雄は当たり障りのない返事をくりかえす。
並木との関係も、ただの隣人だと嘘をついた。
だが、嘘をついたあとで激しく後悔した。
もしも警察が、輝也の保育園にいき聞き込みをはじめたら、並木とは親しい仲だったことがバレてしまう。
マフラーの中は嫌な汗でびっしょりとしていた。
警察が去ったあとも、貞雄は手足に痺れを感じるほど恐怖を感じていた。
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