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澄んだ青空――
公園には、家族連れの幸せそうな声が響いている。
動画をまわし、わが子の成長を記録する親、それに応える子供たち。
どこをどう切り取っても、そこには幸福の絵しか映らない。
まぶしいほどの太陽の下、貞雄だけが暗闇にひとりぼっちになったような気分になる。
ベンチに座り、輝也とサンドウィッチを食べている時だった。
「あのう、すいません」
キャメルコートを着た二十歳くらいの女の子が声をかけてきた。
「はい」
「もしかして、その子、テルちゃんですか?」
女の子は目をキラキラさせている。
「はぁ・・・・・・そうですけど」
「やっぱり! すごい本物のテルちゃんだ」
「あのう、どうしてうちの子を」
「いつも観てますよ。テルちゃんスマイルチャンネル」
「テルチャン、スマイルチャンネル? 何ですそれ」
貞雄はいまいち理解がおいつかなかった。
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